出版のお知らせ

2018年11月に初の書籍が出版されました!

酵素とか酵母とか発酵とか似たような名前のもんを整理しよう

 

こんにちは。

アトピー改善アドバイザーの桒野靖士(くわのやすし)です。

 

さて、今日は少しマニアックなお話。

日々アトピーとか栄養学とかの情報収集をしてますとね、こんな言葉たちに惑わされるんです。

 

「酵素」

「酵母」

「発酵」

「毒素」

「排毒(デトックス)」

 

これらはいったい何なのか?

 

酵素を勧めるWebサイトや書籍はたくさんありますが、「酵素とはなにか?」を明快に説明されているものが少ないと感じます。

さらに「酵母」とか「発酵」とか似たような言葉がたくさんあって、どんどん混乱してくるし、美容ブログなんか見てると、もはや書いてる人もよくわかってなかったりします(笑)

 

「毒素」もそうですよね。

言葉の印象は「なんか悪いもの」ですけど、その正体はなかなか説明されません。

「排毒しましょう!」って言うけど、毒がカラダから出ていってるのを見たことはないし、そもそも何を出すのかよくわからないのに、「出しましょう!」って勢い良く言われても。。。

って僕なんかは思ってしまいます(笑)

 

なので、ちょっと言葉の整理をしてみようかと思いまして。

今日は「酵素」「酵母」「発酵」などの「酵」が付くやつを取り上げてみましょう。

 

 

酵母は生き物だから食事をする

 

「酵母」っていうのは「酵母菌」と呼ばれる生き物です。

菌にも色んな種類がいます。

酵母菌はその中でもカビ菌とかキノコとかと同じ仲間(菌類)に属します。

 

酵母菌は生き物ですから食事をします。

いろんな種類の酵母菌がいてそれぞれ好きなエサを食べ、うんことおならをします。

 

麦を食べてアルコールのうんこと二酸化炭素のおならを出す酵母がいます。

これはビール酵母。

二酸化炭素はシュワシュワの炭酸ガスですね。

 

ブドウの糖分を食べてアルコールのうんこと二酸化炭素のおならを出す酵母がいます。

これはワイン酵母。

二酸化炭素は熟成の間に抜けるのかな?詳しく知りません。

 

日本酒はちょっと複雑。

米を食べて糖分のうんこを出すのが米麹。

米麹が出した糖分を食べてアルコールのうんこを出すのが清酒酵母。

ちなみに麹も菌類ですね。カビ菌です。

 

小麦粉を食べて、アルコールと二酸化炭素のおならを出す酵母がいます。

これはパン酵母。

おならの勢いでパン生地が膨らみます。すごいね。

 

酵母はこうやって好きなエサを食べて、エネルギーにして生きています。

食べて、エネルギーにして、うんこをする。

人間も酵母も生き物はみんな同じことをしていますね。

 

 

発酵とは酵母の食事~排泄のこと

 

こうやって酵母が何かを食べてうんことおならをすることを「発酵」と言います。

人間から見ると、米が酒に変わったり、小麦粉が膨らんでパンになったりするので、なんかすごいことが起こっている感じがしますが、酵母からすれば当たり前のことを淡々とやっているだけなんです。

 

カビなどの酵母以外の菌類も同じことをやっています。

乳酸菌や大腸菌、納豆菌などの細菌も同じ。

乳酸菌が牛乳をヨーグルトにしたり、納豆菌が大豆を納豆にしたりするのも、彼らの食事~排泄によるものです。

 

食べ物を放置すると腐っていきますが、あれも菌の食事~排泄の結果です。

 

出したうんこが人間に都合の良いものであれば「発酵」で、都合の悪いものであれば「腐敗」と呼ぶ。

とても人間目線の呼び名なんです。

菌目線で言えば、ただの食事なのにね。

 

お酒、味噌、漬物、チーズ、ヨーグルトなどの発酵食品は全てなんらかの菌類や細菌の食事の結果出来上がったものです。

人間はその菌の当たり前の生活を上手にコントロールして、美味しいモノを作り出せるように腕を磨いてきたわけ。

そう考えると人間の技術や知恵ってすごいし、美味しい物への執念にも驚いてしまいますよね。

 

 

じゃあ、酵素ってなによ?

 

酵母や乳酸菌などの細菌だってご飯食べるんだって話をしてきましたが、その時にはやっぱり消化をしてるわけですよね。

ビール酵母が麦をアルコールに変えるためには、麦を分解してブドウ糖を作り、ブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解する必要があります。

 

こういう栄養の分解とか合成をやっているのが「酵素」というタンパク質です。

ただのタンパク質ですから、命はありません。

「酵母」は生き物ですが、「酵素」は生き物ではありません。

酵素とは、生き物の細胞の中で次々と作り出されているタンパク質の一種です。

 

酵母も乳酸菌も植物も人間も、細胞の中で酵素を作り続けています。

人間で言えば数千種類の酵素が延々と製造されていて、栄養を分解したり、合成したりしています。

※酵素については過去に記事書いたのでこちらを参照ください。

「酵素を取る」は意味があるのか?

2014年5月1日

 

細胞の中で作られるくらいですからめちゃくちゃ小さいです。

酵母や乳酸菌は電子顕微鏡を使えばその姿を見ることができますが、酵素はもっともっと小さいので見えません。

訂正:専門家の指摘を受けました。見えるんだって。

電子顕微鏡ってすごいのね。

 

僕たちも菌たちも、そんな小さな小さな酵素という「道具」を使って、食べ物を分解してカラダの部品に作り変えたり、エネルギーを発掘したりしながら生きています。

そして、菌によって持っている酵素、つまり道具が違うので、食べるものや出すものが違うわけです。

 

酵母にはアルコールと二酸化炭素を出すやつが多いんですが、腸内細菌の中にはビタミンを出すやつがいたり、アミノ酸を出すやつがいたり、人間にとって毒になるものを出すやつがいたりします。

その違いは、菌が持っている「酵素の種類」の違いというわけです。

 

パプワニューギニアには芋しか食ってないのに、筋肉モリモリな部族がいます。

普通、筋肉をつけるためには肉や魚や乳や豆が必要なんです。

それを食べていないその部族が、なぜマッチョなのか?

どうやら、芋の成分をタンパク質に作り変えることのできる、珍しい腸内細菌を持っているらしいんです。

その腸内細菌は、植物からタンパク質を作り出すことのできる「道具」を持っているということですね。

草食動物に近い腸内環境なんだと思います。

 

ちょっと話が逸れてしまいましたね^_^;

 

整理すると、

「酵母」は菌類の一種のこと。生き物。

「発酵」は酵母や細菌たちにとっての食事と排泄のこと。

「酵素」はあらゆる生物が栄養を分解したりするための「道具」です。

 

てことで、今日は言葉の整理でした。

自分のカラダのことを自分で考えるためには、言葉を知っておく必要があります。

ぼんやりした区別をはっきりさせていくという作業は、地味ですが確実に思考力を付けてくれますね。

 

今日の話で「スッキリした~!」って方がいたら嬉しいです^_^

 

 

 

 

アトピー改善アドバイザー

桒野靖士(くわのやすし)

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

1980年生まれ、大分県出身。 大阪大学卒業後、大手メーカーに経営企画スタッフとして勤務。 入社の数ヶ月後からアトピー性皮膚炎を発症。 2年間ステロイドを使うが改善が見られなかったため、25歳のとき脱ステを決意。 激しいリバウンドの最中に出会った分子栄養学に可能性を感じ、ほぼ独学で学ぶ。 3年間の試行錯誤の末、アトピーの症状はすべて消えた。 しかしその後、ココロの不安定さから人間関係やお金の問題に悩むこと更に3年。 仕事を転々とし、最後は1年間の無職無収入を経験。 自分を変えたいと心理学や感情について独学で学ぶ中で、1冊の本をきっかけに社会復帰。 自分にできることは何かを考えた末、アトピーの体験・知識を伝えることを決意。 アトピー改善アドバイザーとして全国で講演やカウンセリングを行い、「アトピーを味わい尽くすと、人生が変わる」というメッセージを伝えている。