アトピーの2大「困ること」は、
その1.痒い
その2.見た目が変わる
だと思います。
今日はその1について思うところを。
掻くべきか掻かざるべきか
よく質問されるのが、「掻かない方がいいですか?」ということです。
こういう時僕はいつも「どっちでもいいです(笑)」と答えます。
多くの皮膚科の先生は、「掻くと余計ひどくなるから掻かないように」というアドバイスをくださいます。これは間違ってないと思います。掻くことによって皮膚の組織がボロボロになって、刺激物が皮膚の内部まで入ってきやすくなるので、アレルギー反応の発生頻度が多くなってしまうのです。だから、掻かないでいられるのならば、掻かない方がいいでしょうね。
でも、問題は
「現実問題として掻かないではいられない」
ということなんですよね。
もうね、死ぬほど痒いわけですよ。これを我慢して掻かないなんて、禅の修行僧でも無理。
もっと言うと、掻いたときの快感と言ったら、天にも昇るような気持ちよさなんです。アトピーになって唯一よかったことは、この気持ちよさを体感できたことかもしれません。
だから余計に、掻かないでいることは難しいことなんです。
百歩譲って、昼間は我慢できたとしましょう。でも寝てる間に我慢できる人は、いないと思います。
ということは、「掻かない方がいい」っていうアドバイスは、全く無意味だということです。
だって掻いちゃうんだもん(笑)
しかもですよ、アトピーからの脱出に成功した人たち、みなさん掻いてましたからね。
逆に掻かないことを徹底して守って、寝る間も手袋してる方々の中にだって、何年経っても脱出できてない人はたくさんおられます。
だから、掻いても掻かなくてもどっちでもいいんです。
掻くという自傷行為
なぜこんな話をするかというと、掻いた後に罪悪感を感じてしまう人が多いからです。多くのアトピーの方が「掻いてはいけない」と思っているし、なぜかアトピーではない人たちの間でも、「アトピーは掻くと悪くなる」というイメージが浸透していて、「掻いちゃダメ!」という厳しい指導をしてくださるので、我慢できずに掻きむしった後には、妙な罪悪感が残るんです。
「痒み」というのはある意味「痛み」より残酷です。
「痛み」は一方的に暴力的に僕らを痛めつけてきます。「痛み」そのものが苦しみを与えてきます。事故であったり、病であったり、他人からの暴力であったり、自分以外の何かが「痛み」を引き起こしているので、その苦しみは受け身的なものです。自分に否はないと信じることができます。
ところが、「痒み」は掻くという自傷行為を伴うので、まるで自分で自分を傷つけているような感覚に陥ってしまいます。
「自分さえ我慢すれば、こんなに酷いことにはならなかったのに」
自分の傷だらけ、血だらけになった腕を見て、そう感じてしまいます。アトピーの人はそうやって自分を責め、だんだんと自信を無くし、セルフイメージを下げていく傾向にあります。
そういう残酷さが、「痒み」にはあるということです。
周囲の方も、ぜひこの辺りの感情的な背景を理解して、掻くことを許してほしいと思います。アトピーの当事者も、「掻かない方がいいんじゃない?」という周囲からのアドバイスが、心からの善意であることを知っています。それでも、その言葉によって知らず知らず傷ついていくことがあるんです。
傷は必ず癒える
もうそんなこと気にせずに、掻いちゃえばいいと思います。掻いても治る人は治るし、掻かなくても治らない人は治らない。掻くか掻かないかはあまり重要ではなく、掻いたときの傷がちゃんと修復できるかどうかが、重要なんです。
僕がいつも「アトピーの人にはタンパク質が最も大切」と言っているのは、この傷を修復するための材料がたくさん必要だからです。
皮膚の材料はタンパク質。たとえ傷ついても、材料がちゃんと供給されれば、僕らのカラダはしっかり修復してくれます。自分のカラダを信頼してください。
魚の油(オメガ3脂肪酸)を摂って炎症体質を抑え、皮膚の保湿+腸内環境改善でアレルゲンの侵入口をふさぎ、ストレスの緩和と糖分を控えることで副腎を回復させる。
こういったことを心がけていれば、掻いては修復し、掻いては修復して、だんだんとアトピーは消えていきます。
だから、掻くことに罪悪感を感じる必要は全くありません。もう十分感じ尽くしたでしょう。
僕らの「掻く自由」は誰にも奪えないのです(笑)
アトピー改善アドバイザー
桒野靖士(くわのやすし)
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