2年間ステロイドを使い続けたのに、改善どころか全身に症状が広がってしまったという状況の中で、ネットの情報でステロイドバッシングをたくさん目にしたときの僕は、完全に「脱ステしなければ治らない!」という観念に とらわれてしまっていました。
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「脱ステしなければ治らない」は勘違い
しかし、この観念はかなりの勘違いだったと、今では思うのです。
「ステロイドは善か悪か」
僕は、こういう論争には意味がないと思っていますし、その議論に参加することはしません。
ただ、ステロイドには「役割」と「限界」があると捉えています。このことを理解しないと、ステロイドが必要以上に怖いものに見えたり、逆にステロイドさえあれば大丈夫と過信してしまったりするのです。
ステロイドの役割
ステロイドの役割は明確です。それは「炎症を抑える」ことです。
強烈な痒み。
染み出すリンパ液の不快感。
赤み、黒ずみ、傷、ジュクジュクなどの見た目の変化。
不眠、疲労、精神的ストレス。
アトピーのつらさはいろんな側面からやってきますが、これらは皮膚の炎症が治まると、ずいぶんすっきりするものです。ステロイドは、この炎症という厄介な症状を素早く、しっかりと抑える力をもっています。
炎症を抑える能力に関しては、ステロイドの右に出るものはおそらくないでしょう。アトピーのつらさを経験した方はわかると思いますが、24時間逃げ場のない痒みは、本当に耐えがたいものです。不眠に陥ると仕事にも行けないことが多いですし、そうなると経済的にも困窮することになります。
ステロイドによって炎症を抑えることができれば、こういった状況に陥ることなく、日常生活を送ることができるようになります。これは人によってはとてもありがたいことだと思います。
ちなみに、現在のステロイド軟膏はずいぶんと進化していて、皮膚から浸透した成分が体内に入り込んでホルモンバランスを崩すということはなくなっているようです。血管などに入ったところで、分解されてステロイドの力を失うようにできているとか。
また、色素沈着という副作用がうわさされていますが、皮膚の黒ずみはステロイドが原因ではありません。強い炎症が起こった場所は必ず黒くなるのです。火傷したときなどに黒いアザが残るのと同じ現象です。いろいろと誤解されている面も多い薬ですね。
ステロイドの限界
しかし、非常に効き目のはっきりしたステロイドいう薬も、万能ではありません。皮膚の上の炎症は綺麗にしてくれますが、カラダの中を改善するような効果はないのです。
以前の記事で書いたように、アトピーは肥満のようなもので、僕が「アトピースパイラル」と呼んでいる悪循環にはまった状態にすぎません。
この状態を改善するには、栄養の摂り方やスキンケアの方法などの生活習慣を変え、カラダを変化させていく必要があります。
しかし、ステロイドをどれだけ丁寧に塗っても、体内の状態には作用しません。あくまで皮膚の表面の炎症を抑えるだけです。つまり、ステロイドにはアトピーを根本的に治すという効果はないと言っていいと思います。
これがステロイドの限界なのです。
アトピーとは無関係な薬
ここまでの話を総合すると、アトピーが治るかどうかと、ステロイドを使うかどうかは無関係なのだということが見えてきます。
アトピー業界を見渡すと、脱ステして何年も経っているのに、アトピーの症状が全く改善していない人もいれば、ステロイドを何年も使っているのに、全然改善しない人もいます。逆に、ステロイドを使って改善した人もいますし、ステロイドを使わずに自然に治ったなんていう人もいます。
結局、どっちでもいいのではないでしょうか。塗られたステロイドは淡々と「炎症を抑える」という役割を果たすだけ。
その間に、カラダの中のアトピースパイラルがうまく終息すれば改善するし、カラダの中に変化がなければステロイドを塗るのをやめたときに症状は再び現れます。
本質は、ステロイドを使うか否かではなく、「カラダ全体の状態がどう変化したか」なのです。だから僕は、ステロイド派 VS 脱ステ派の論争に意味がないと考えています。極論すれば、アトピー業界のど真ん中で議論になっているのが不思議なくらい、アトピーとは関係のない薬だと言えるかもしれません。
ステロイドに期待しすぎることもなく、必要以上に怖がる必要もなく、「限界」理解し、「役割」を活用したければ活用する。
ステロイドを等身大に見れるようになれば、ステロイドを使うか使わないか、自分で決められるようになるのではないでしょうか。
「ステロイドを使うのは有利か不利か」
ではなく、
「どんなふうに改善に向かいたいか」
を自分で描く。
こういう姿勢で臨むと、ずいぶん自由な感覚になると思います。
アトピー改善アドバイザー
桒野靖士(くわのやすし)
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