Appleのノートパソコンは金属で出来ているので、暖房の利いていない部屋に置いとくと、キンキンに冷えて、キーボードを打とうと手を置くとびっくりするくらい冷たいです(笑)
こんにちは。
アトピー改善アドバイザーの桑野です。
前回の保湿の記事は結構反響がありました。やはり保湿ってアトピーの人にかぎらず、多くの人にとって興味のあるテーマなんですね。なので、今日は保湿について、もう少し具体的なお話を。
保湿の3つの要素
「保湿」とひとことで言いますが、何をすれば保湿したことになるんでしょうか?
前回、肌は水分を必要としているとお伝えしましたが、肌に水をパシャパシャかけるだけでは、すぐに蒸発してしまって意味がありません。それどころか、蒸発するときに、もともとあった水分も連れていくので、逆に乾燥させてしまいます。
保湿には次の3つの要素があると考えています。
(1)水分
「水分」はわかりますよね。肌そのものに潤いを与えるためと、前回お伝えしたラメラ構造を作り上げるためです。
(2)油分
僕達の皮膚の表面には「皮脂膜」というバリアが張られています。前回書いたラメラ構造は角質層の内部ですが、皮脂膜は皮膚の上で皮膚を守り、余計な水分の蒸発を防いでいます。
アトピーの人は、この皮脂膜を作る力が弱いですよね。僕も症状が出ている頃は、自分の皮脂を見たことがありませんでした。
健康な方でも、アルカリ性の石鹸やボディーソープ、洗顔料などによって、簡単に皮脂膜は破壊されてしまいます。破壊されても肌が頑張って作り直してくれるんですが、その分、肌に負担はかかります。
ですから、必要以上に皮脂を落とさないような洗浄剤を選ぶ必要があるし、壊れた皮脂膜を補うために、皮脂に近い成分で覆ってあげると効果的なんです。
なので、水分と一緒に油分を補う必要があるんですね。油分の不足した肌は、排水口に栓をしていない浴槽みたいなもの。せっかく水分を補っても、ダダ漏れです。
ちなみに前回書いたセラミドは、油分に含まれます。
(3)天然保湿因子
皮膚には油分以外にも水分の蒸発を防いでいるものがあります。それが「天然保湿因子」とか「NMF(Natural Moisturizing Factor)」とかと呼ばれるものです。
有名なのは水分を蓄える成分「ヒアルロン酸」ですね。水とくっつくとジェル状になって、その水分を離しません。1グラムのヒアルロン酸で6リットルの水を捕まえておくことができるそうです。
マイナーですが、すごい能力を持っているのが、NaPCAという成分。空気中に含まれる水蒸気を引き寄せる力があります。外から水分を持ってくるって、なかなか強力ですよね。
こういった天然保湿因子は年齢を重ねるうちに減っていきますし、乾燥肌の人はもともとあまり持っていない傾向にあるんだと思います。
ヒアルロン酸とかって化粧品に配合されている特殊な成分っていうイメージがあるかもしれませんが、実は、僕らの肌の潤いを守るために「当たり前に必要」なものなんです。
スキンケアを学んだことのある方にとってはこの3要素は常識かもしれませんが、意外とこの基本が一般に浸透していないなと感じています。この3つを意識して保湿剤、基礎化粧品を選んでいくと効果的だと思います。
保湿の順序
僕は保湿をする時必ず、化粧水 ⇒ 乳液 or クリームという順番を守ります。これは、まず水分を浸透させて、それが無駄に逃げていかないように、油分で蓋をするためです。
保湿というと、よく、クリームだけを塗るという方がいらっしゃいます。健康な肌の人であれば、もともと持ってる水分を逃がしにくくするという意味があるかもしれませんが、アトピーを含む乾燥肌の人にとっては、これでは、空っぽのコップに蓋をしているみたいなもので、ほとんど意味がありません。だから、必ず化粧水とクリームがセットなんです。
浸透しやすいものを先に入れたほうがいいので、順番は化粧水が先、乳液やクリームは後です。
完全に覆いかぶさってはいけない
皮膚に関するよくある誤解の第1位は、「皮膚呼吸」です。皮膚呼吸を妨げられると死んでしまうみたいなイメージが浸透していますが、これは完全に都市伝説(笑)人間は皮膚から酸素を吸い込んだりはしていません。
ただ、酸素のやりとりはなくても、それ以外のやりとりは結構行われています。
例えば、汗なんかそうですね。僕たち人間は毛がない代わりに、体温を下げるための「エクリン腺」という、汗の製造機をたくさん備えています。汗をかいて、皮膚の表面から水分を蒸発させると、体温が下がるという仕組みです。気化熱という現象を利用しています。これがうまく働かないと、体温調節がうまくできません。
つまり、無駄に水分が蒸発して行くのは避けたいけど、汗をかいたらちゃんと蒸発してほしいという、ワガママを満たしてあげる必要があるということです。
なので、保湿のため!と思って、水分を逃がさないように、ベッタリ覆い尽くすのも、肌の働きを邪魔することになります。
他にも、垢と呼ばれる、角質の死骸や老廃物が混じり合ったものも、皮膚の表面に上がってきます。皮膚は新陳代謝を繰り返しているので、常に皮膚の深いところから表面に向かって、新しい皮膚が移動してきます。古い皮膚や老廃物が、剥がれ落ちていってくれないと、新しい皮膚が表面に出られないのです。
そういう意味でも、完全に覆いかぶさる保湿は肌のためにならないことがわかると思います。
こんなふうに、保湿のために良かれと思ってやったことが、逆に皮膚に負担をかけることになっているかもしれないということです。
ベッタリ覆っちゃってませんか?
「ベッタリ覆う」とは、水分の通過を許さないことです。ラップで皮膚を覆っている感じでしょうか。ラップで覆っていれば、確かに皮膚に水分をとどめておくことができるかもしれません。
しかし、本当は蒸発してほしいものが蒸発できず、剥がれ落ちてほしいものが剥がれてくれず、皮膚の活動は押し込められてしまうんです。
そして、僕がいろんなアトピーの方の肌の状態やケアの方法をを見て思うのは、保湿のためと思って肌に塗った保湿剤が、ラップのような状態になってる可能性があるということです。
ちょっと実験してみましょうか。
ラップ状態になりやすい成分の保湿剤を手の甲に薄く塗ってみました。ちょっとツヤっとしましたね。
そこに水をかけてみました。
そう、水を弾くんですよ。染みこませようと少しぬりぬりしてみましたが、入っていく感じがしません。僕が「ベッタリ覆っている」と言っているのは、こういう状態のことです。水分の出入りは許されないので、確かに肌の内部に水分が閉じ込められます。
でも、そこに水分の「流れ」や「循環」はありません。動きのない「蒸れ」があるだけです。
これを僕は保湿だとは思えないんです。
さて、もう一方の手に、僕が愛用している保湿剤を塗ってみました。
すぐに浸透してしまうので、テカりはありません。
水をかけてみました。少しぬりぬりするとこんな感じで水が馴染んでいきます。弾く感じはありません。こういう保湿であれば、蒸発すべきは蒸発し、外から入って来るべきものは入ってくるので、「循環」が可能です。当然アトピーの人は、圧倒的に乾燥肌なので、循環を許すということは、乾燥を覚悟しなければなりません。だからこそ、「保湿の回数」が大切なんですね。
- 肌本来の状態に近い保湿を行うと、水分はある程度抜けていく。その分、回数をこなす必要がある。
- ベッタリ覆う「ラップ方式」の保湿なら、長時間水分をとどめておくことができるかもしれませんが、肌本来の働きは失われる。
どちらを取るかの選択なんです。
保湿の何がまずかったのか?
保湿をやめたら肌が良くなったという人は確かにいらっしゃいます。でも、それだけで保湿がダメ!という結論は導けないのではないでしょうか。保湿のやり方がまずかったかもしれないし、使っていた保湿剤がまずかったかもしれない。
初めて付き合った男がサイテーの男だった。だから、男と付き合ってもいいことないんだって、恋愛することをやめてしまう人がいます。でも、その人がサイテーだっただけで、世の中の男性全員がサイテーなわけではないですよね。
僕たちは「拡大解釈」っていうのを、ついついやってしまう生き物です。一つの経験や実例で、あたかもすべてが同じかのように考えてしまうんですね。「勘違い」の一種です。
保湿についても、うまく行かなった例が沢山あるがために、保湿全部が悪いと考えてしまうという、拡大解釈にハマっている方が多いような気がするんです。
やっていた保湿のどこに問題があったのか、
保湿にメリットはないのか、
保湿をしなかった人は本当にみんな改善に向かっているのか?
そういったことを冷静に検証する賢さが、アトピーと向き合う人には必要だと思っています。
その上で、保湿をするかしないかを選択することで、納得の行く道を歩めるんだと思います。
アトピー改善アドバイザー
桒野靖士(くわのやすし)
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