「アトピー性皮膚炎」のように「炎」という文字が入っている病名は、特定の場所で炎症が起こっていることを意味します。
皮膚炎:皮膚の炎症
鼻炎:鼻の粘膜の炎症
結膜炎:瞼の裏の炎症
中耳炎:耳の中の炎症
食道炎:食道の炎症
気管支炎:気管支の炎症
などのように「体の部位+炎」で病名になっているものがたくさんあります。他にも脳炎・肺炎、胃炎・腸炎・肝炎・腎炎・胆管炎・ 膀胱炎・尿道炎・関節炎・腱鞘(けんしょう)炎・前立腺炎などなど、あらゆる場所に炎症は起こりますし、 食道から直腸まで消化管全体で炎症が起こるクローン病のように広範
炎症とは本来、 カラダの傷ついた部分や菌・ウイルスなどに侵された部分を 修復するための働きと言えます。
例えば、転んでけがをしたとき、 擦りむいた箇所が赤く腫れたり、 熱を持ったりしますよね。 風邪をひいたときにのどが痛くなって、 赤く腫れ、熱を持ちますよね。 あれが炎症です。炎症が起こっている場所では、 菌をやっつけるために白血球が集まり、 修復のために血液がたくさん流れてきたりします。痛みを伴いますが、 炎症がおこることで僕らの体は多少壊れても、 元に戻れるようになっているんです。
しかし、この炎症がなかなか収まらず、 慢性化してしまうことがあります。特にアトピーの人はその傾向が強く、 何年も炎症が続いてしまうことが少なくありません。皮膚での炎症はとにかく耐え難い痒みを伴います。アトピーの一番厄介な症状はこの痒みですが、 これは「炎症」のせいなんですね。
けがをしたときや、風邪にかかったときの炎症は、 その場所が回復すると同時に収まります。ところが、アトピーの人は一度起こった炎症が ず~っと続いてしまう傾向にあるんです。
実はこれには、食生活によって作られた体質が影響しています。 体の中には炎症を起こすホルモンと炎症を抑えるホルモンがあり、 これらは僕らが口から食べた「油」を材料に作られています。炎症を起こすホルモンは「植物の油(オメガ6脂肪酸)」、炎症を抑えるホルモンは「魚の油(オメガ3脂肪酸)」からできています。
「植物の油」といえばサラダ油のことです。 コーン油とかべにばな油とかごま油とかいろいろありますが、 栄養学的に言うと「リノール酸」などと呼ばれるものです。 「魚の油」といえば、サンマとかを焼いたとき、 グリルの 底に透明な
ちなみに、この「植物の油」と「魚の油」は、 人間の体の中で全く正反対の働きをすることで知られています。
今日のテーマの「炎症」についても「植物の油」は炎症を起こし、 「魚の油」は抑えるという正反対の働きをしますし、 他にも「植物の油」は血液を固めるたり血管を収縮したりして 血圧を上げる働きをしますが、 逆に「魚の油」は血液をサラサラにしたり血管を広げて 血圧を下げる働きをします。
こんなふうに正反対の性格をした栄養素なので、 体の中にバランスよく取り入れる必要があります。理想的なのは、「植物:魚=2:1」の比率と言われています。
さて、ここで少しご自身の食生活を振り返ってみてください。「植物の油」と「魚の油」どちらを摂る機会が多いでしょうか?おそらく「植物の油」を摂る機会が多いという方がほとんどだと思います。現代の日本人の食生活を考えると、 平均的には「10:1」くらい、 アレルギーなどの疾患を抱えている人であれば 「30:1」くらいまでバランスが崩れているだろうと言われています。考えてみれば、 外食ばっかり、 揚げ物中心の食事、 スナック菓子大好き、 たまに体を気にして食べるサラダにかけるドレッシングも サラダオイルが主原料…みたいなことになっていて、 「植物の油」を摂る機会はかなり多いことがわ
一方魚は、高いし、調理がめんどくさいし、 臭いが付くし、骨があるしで、 飲み会のコース料理で出てくる刺身の盛り合わせくらいしか 食べてないというような方も多いのではないでしょうか?このバランスだと、体内には 炎症を起こすホルモンの材料ばかりが大量に仕入れられていて、 抑えるホルモンの材料が完全に不足している状態になっている ということはご理解いただけると思います。これでは当然炎症を抑えることなんてできません。
「植物の油」たちがめちゃくちゃ盛り上がってる六本木のクラブに、一人で乗り込んでいった「魚の油」が「静かにしてよ~」って言ったって誰も聞こえないですよね。。。カラダの中がそんな状態になってるんです。それで一度皮膚で炎症が起こ
でも、ここまで理解できれば、 炎症を抑える体作りは簡単だということもわかってきますね。つまり、「植物の油」を減らして、「魚の油」を増やせば、体質はかなり変わるということです。
例えば、ランチにいつも食べている唐揚げ定食をやめて、焼き魚定食にするなど、やれることはいろいろありますね。とにかく揚げ物を徹底的に避ける。家で料理す
そして魚を積極的に食べる。でもどれだけ食事で頑張っても魚を食べられる量は たかが知れていると思います。体質をガラッと変えるには、「2:1」を目指すのではなく、 一時的に「1:2」と逆転するくらいまで持っていきたいものです。なので食事だけではおそらく足りませんから、 不足する部分はサプリメントなどで補いましょう。「魚の油」のサプリメントは、 「EPA」「DHA」という表示で売られています。
食生活を改善することで、炎症をコントロールできる体を取り戻すことができると、アトピーの症状としてもずいぶん楽になってくると思います。ただし、どのくらい時間がかかるかは人によってことなるでしょう。
僕も炎症体質から抜けるのに1年くらいかかりました。ある意味、根気の要ることです。アトピーからの脱出はほんとにダイエットに似ています。本人の向き合い方次第だとも言えます。ぜひ食生活を見直して、炎症体質から抜け出しましょう。
アトピー改善アドバイザー
桒野靖士(くわのやすし)
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